2013/07/16

Oregon便り(10)~学校の中での実践主義 その1


「何のために勉強をするのか」


こんな子どもたちの質問には、おそらく多くの大人が、

「良い大学へ入るために勉強するんだよ。」
「将来、ちゃんとした仕事に就くためにがんばるんだよ。」

と答えるのではないでしょうか。「なるほど、勉強して良い大学に入って、良い仕事につくことが大事なんだ! 」と漠然と思う子どももいるかもしれません。良い大学、良い仕事の定義はさておき・・・。


「きみたちは、将来役に立つことをいま勉強してるんだよ!」

これもありがちな答えのひとつです。
するとおそらく、子どもたちはこう言うでしょう。

「じゃあ、今やっていることが、どこでいつ役に立つのか教えてよ!」


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アメリカの学校教育は、日本に比べて、より「実践主義」だと感じます。そのため、

「何のためにこれをやっているのか。」


その答えが明快な授業カリキュラムが多いのです。



たとえば、世界史。

「歴史上に起きていることが、今の世界で起きていないか。」

「過去に起きたことが、今の世界にどうつながっているか。」

そういう視点で歴史的な出来事や流れを読み、分析し、まとめ、自分なりの答えをだしてレポートにする。

年号を覚えたり、細かいことを確認するような作業はなく、テストもありません。たとえば、日本のようにXXXX年、○○の乱という覚え方ではなく、これぐらいの時期に、こういうことが起きて、時代が変わったんだという話ができればOKという感じです。

大事なのは、どうしてそれが起き、そのような結果になったのか。それが今の世界にどう影響しているか、ということなのです。



そういったものの視点は、実際に社会に出たときに、役に立つことが想像できます。

会社でプロジェクトを立ち上げ軌道にのせるとき、会社を経営するとき、過去を分析し、その問題点や原因を割り出すことは必要な作業です。

そして、時代が変わろうとも、現代に残っている本当に良いものは何か。普遍的なものを見極める作業も大事です。


といった具合に、こちらの学校の課題を見ていると、現代社会(今のビジネス社会)で役に立ちそうなプロセスと繋がることが多いのです。



他にも、ライティングでは、伝記本を読み、ある一人の人に焦点をあて、リサーチしなさいという課題がありました。年表を作成し、それぞれの時代のポイントを見出します。人生のターニングポイントや象徴的なものをピックアップしながら、ひとりの人生を紐解いていくという授業でした。

その次は、自分の4人の祖父母の中から一人選び、 彼/彼女の人生をリポートするというものでした。同じように年表を作り、直接インタビューし、人生の大切なピースを拾い集めていくという作業です。

最初はプロが書いた伝記本を分析してまとめ直す、次は、プロの作家がたどったであろうプロセスをひとつずつ積み上げる、そんな内容でした。


これはどちらも1ヶ月以上かけて、生徒たちが取り組む課題です。そして、分析方法、インタビューの組み立て方、ひとつひとつのプロセスを学ばせます。もちろんライティングのテクニックも同時に学びます。そして、こうしてリサーチして作成したレポートやエッセイは、クラスの中で、必ず発表します


実はこの作業、アメリカではとても大事なのです。 なぜなら、入学試験や入社試験で、自分の履歴(エッセイ)を書き、自分についてプレゼンしなければならないからです。どのような学生生活を送ったか、自分に影響を与えたもの、自分にとって大事なものは何だったのか、、、今の自分を作り上げたポイントをおさえ、自分のよさをアピールしなければならないのです。


偉人、有名人といった成功例としての人生、おじいちゃん、おばあちゃんという身近に尊敬できる人の人生を、第三者の目で分析し、自分の言葉で書き上げる経験が、冷静に自己分析し、自分を語る力となり、将来役に立つことでしょう。




今回ご紹介した例に限らず、学校の課題のひとつひとつが、実際、社会に出たときの事を考えて組まれています。 

机上の勉強と実社会をつなげる実践的な学習 をいかに効率よく学ばせるか、先生たちの工夫が見られるものが多くありました。(ちなみに今回ご紹介した例は、日本で言うと中学1~2年のカリキュラムの一部です。)



また、アメリカの子どもたちは、年齢に関係なく、今やっていることがこの先どう繋がっていくのか、意識しながら学んでいます。もちろん全員が学校の課題をひとつひとつ、そのように捉えているのかどうかはわかりませんが、日ごろの会話からでも、自分の人生は自分でクリエイトする という意識を持っている子が多いように感じています。



ところで、学校の課題を観察して、驚いたことがもうひとつあります。それは、ペーパーをただ読み上げるような発表ではなく、いろいろなアプローチで発表するプレゼンテーションです。プレゼン力!これもビジネス社会では欠かせない要素ですね。

次回はそれについて、ご紹介します。



担当/河合








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